谷・阿部特許事務所
 知的財産権の最新動向(第1話~第11話までを毎月連載)
 ※ 本論文は、『冷凍』2004年2月号 第79巻 第916号「小特集」に寄稿、著作権は谷義一に帰属。

第11話 おわりに-弁理士の役割

 プロパテント時代を反映して,弁理士の数は急増している.2003年(平成15年)には550名の新合格者があり,1万人に到達する日もそう遠いことではない.業域も拡大している.従来の工業所有権法(特許,実用新案,意匠,商標)に基づく対特許庁手続きや,東京高裁での審決取消訴訟に関する代理人,鑑定や特許相談といった業務に加え,プログラム著作権や不正競争防止法,さらにはそれらの契約,また,仲裁や調停の代理人となることも可能となった.弁理士制度の百余年にわたる実績,経験を生かして,よりいっそう社会的に貢献すべきだという声が,弁理士業界内はもとより,世間一般からも寄せられている.2004年(平成16年)からは,能力担保措置研修を終了し,その確認試験に合格した者については,弁護士と共に特許権等侵害訴訟で代理人として活躍できる場ができた.これも,社会が弁理士の存在を評価してくれたことの証であろう.特許の取得がワールドワイドに及ぶ点に象徴されるように,国際ビジネスの経験豊富さが弁理士の強みとも言える.権利を取得し,その活用を経て,さらなる技術開発を行い,その成果を再び権利化するといった知財サイクルに並行して,弁理士と弁護士が協力し,社会に役立つ仕事をすることが求められている.

 弁理士の仕事は,まず発明を理解しようという技術的好奇心から出発する.その野次馬根性こそが原点である.それを活かし技術的理解を深めることが,依頼人に喜んでいただける良い特許の取得のために,本質的に不可欠なのである.その上で特許に関する周辺の法律を理解することで,厚みのある仕事ができるようになる.

 このような考えのもと日々精進している次第であるが,このたび,自分の考えを少し歩みを休めてまとめる機会を与えてくださった春日譲弁理士はじめ,関係各位に深謝する.


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