谷・阿部特許事務所
 
新薬メーカーとジェネリックメーカーとの境界領域
(日米欧比較)

 新薬メーカー(先発医薬品メーカー)とジェネリックメーカー(後発医薬品メーカー)との間には、日米欧において、それぞれ、幾つかの法律上の障壁が設けられている。
 ここでは、それら障壁について、その現状と概要を紹介する。

1.医薬製造承認における欧米の「Data Exclusivity」(データ保護)と日本の「製造承認後の再審査期間」

  欧米においては、新薬製造承認手続きにおける臨床、毒性等のデータは、新薬メーカーが長期間を費やして得た知的財産であるから、第3者は、新薬メーカーの許可がなければ一定期間そのデータを利用することができないとの考え方に基づき、それらデータに対し一定期間の保護(「Data Exclusivity」)を与えている。
  一方、日本においては、このような「Data Exclusivity」制度は無いが、実質的にこれに替わる「製造承認後の再審査期間」制度がある(現在、日本においても、この「Data Exclusivity」制度の導入についてその検討が行われている)。

 (1)欧州の「Data Exclusivity」

  これまで、デンマーク、オーストリア、フィンランド等においては6年のデータ保護期間が設けられ、英国、ドイツ、フランス等においては10年のデータ保護期間が設けられていた。
  しかし、2003年12月に、EU薬事規則が改正され、欧州のデータ保護は一律「新薬承認後8年間」となった(但し、これは、2007年8月以降承認の新薬から適用される)。

 (2)米国の「Data Exclusivity」

  データ保護は「新薬承認後5年」(但し、ジェネリック医薬の申請は新薬承認4年後から可能)。

 (3)日本の「製造承認後の再審査期間」

  日本には、「Data Exclusivity」制度はないが、実質的にこれに替わる「製造承認後の再審査期間」制度がある。
  【薬事法14条の4】(再審査期間)
  再審査申請は、以下の期間を経過した後の3か月以内に申請されなければならない。

 (イ)「希少疾病医薬品」は、承認から6年を超え10年を越えない範囲
 (ロ)「既に承認されている医薬品と効能または効果のみが明らかに異なる医薬品」は、
  承認から6年に満たない範囲
 (ハ)「(a)および(b)以外の医薬品」は承認から6年

2.医薬に係る特許期間の延長制度

  日米欧においては、いずれも特許期間を最大5年間延長することが可能になっている。

3.特許期間満了前に、ジェネリック医薬の承認のために、その特許発明を試験または研究することの是非-特許権侵害の有無-

(1)欧州

  各国により多少異なるが、全体的に「侵害にあたらない」とする方向に傾いている。

(2)米国

  米国特許法271条(e)
  「特許期間存続中に、ジェネリックメーカーが、簡略化新薬申請(ANDA)のためにその特許発明の試験を行うことは特許権の侵害にならない。」(「特許期間回復法案」成立時に新設された条項)

(3)日本

  最高裁判決(1998年)
  「ジェネリックメーカーが、特許期間存続中に後発医薬品の承認申請をするために、その特許発明の試験または研究をすることは特許法第69条の「試験または研究」に該当する。したがって、特許権の侵害にあたらない。」

4.(参考)ジェネリック医薬品の占有率

        ドイツ・英国・米国:50%以上

        日本        :12%程

2006年4月28日

主代 静義


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